伊勢市⾺瀬町の⻭医者「杉原⻭科」|⼀般⻭科・⼩児⻭科・矯正⻭科

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  • 糖尿病以外にも歯周病が影響する疾病
  • 2023年8月4日
  • 糖尿病以外にも歯周病が影響する疾病
  • 歯周病という病気は残念ながら全身疾患と大きく関わりがあり、歯を失うだけでは終わりません。
    歯周病と聞くと歯を失う、歯が動揺する、痛みがある、歯茎が腫れる、出血があるといった事を想像しますね。
    軽度のうちは早期に治療を始めることで改善されることが多いので、軽く考えてしまうことが多いのが歯周病です。

    しかしそれを繰り返してしまうことで、段々と歯茎が衰退し、若い頃に比べて歯が長く見えるようになったなど、知らず知らず進行してしまうのです。

    この中でも、出血は歯周病菌と白血球の戦いの証です。出血をそのままにしておくと、歯垢は歯周ポケットの中に潜り込み、どんどんと歯周組織を破壊していき炎症を繰り返します。歯周病が起こるということは、口の中で常に炎症が続いているということです。

    また最近の研究で、口腔内環境が悪くなると、全身疾患に大きく影響を与えることがわかっています。
    糖尿病は一般的に知っている方も多いと思いますが、それ以外にも歯周病の関連が疑われる疾患は下記の通り少なくありません。

    糖尿病と歯周病 ブログページはこちら

    狭心症

    動脈硬化により心筋に血液を送る血管が狭くなったり、ふさがってしまい心筋に血液供給がなくなり死に至ることもある病気です。
    動脈硬化は、不適切な食生活や運動不足、ストレスなどの生活習慣が要因とされていましたが、別の因子として歯周病原因菌などの細菌感染がクローズアップされてきました。
    歯周病原因菌などの刺激により動脈硬化を誘導する物質が出て血管内にプラーク(コレステロールが蓄積してできた血管のコブ)が出来、血液の通り道は細くなります。完全に詰まると心筋梗塞が発症します。

    脳梗塞

    脳の血管のプラークが 詰まったり、頸動脈や心臓から血の塊やプラークが飛んで来て脳血管が詰まる病気です。歯周病の人はそうでない人の2.8倍脳梗塞になり易いと言われています。

    誤嚥性肺炎

    誤嚥性肺炎とは、食べ物や異物を誤って気管や肺に飲み込んでしまうことで発症する肺炎です。
    肺や気管は、咳をすることで異物が入らないように守ることができます。しかし、高齢になるとこれらの機能が衰えるため、食べ物などと一緒にお口の中の細菌を飲み込み、その際むせたりすると細菌が気管から肺の中へ入ることがあります。
    その結果、免疫力の衰えた高齢者では誤嚥性肺炎を発症してしまいます。
    特に、脳血管障害の見られる高齢者に多くみられます。

    早産、低体重出産

    一般に妊娠すると歯肉炎にかかりやすくなるといわれています。
    これには女性ホルモンが大きく関わってくるといわれており、特にエストロゲンという女性ホルモンがある特定の歯周病原細菌の増殖を促すこと、また、歯肉を形作る細胞がエストロゲンの標的となることが知られています。
    これらのホルモンは妊娠終期には月経時の10~30倍になるといわれており、このため妊娠中期から後期にかけて妊娠性歯肉炎が起こりやすくなるのです。また妊娠している女性が歯周病に罹患している場合、低体重児および早産の危険度が高くなることが指摘されています。
    これは口の中の歯周病細菌が血中に入り、胎盤を通して胎児に直接感染するのではないかといわれています。その危険率は7倍にものぼるといわれ、タバコやアルコール、高齢出産などよりもはるかに高い数字なのです。

    関節リウマチ・腎炎

    関節炎や糸球体腎炎が発症する原因のひとつとして、ウィルスや細菌の感染があります。
    関節炎や糸球体腎炎の原因となる黄色ブドウ球菌や連鎖球菌の多くは、歯周病原性細菌など口腔内に多く存在します。
    これらのお口の中の細菌が血液中に入り込んだり、歯周炎によって作り出された炎症物質が血液に入り込むことで、関節炎や糸球体腎炎が発症することがあります。

    アルツハイマー

    最近の研究でアルツハイマー患者の大多数の患者から歯周病菌が発見されました。アメリカではアルツハイマー治療に歯周病菌抑制剤を投与する臨床も始まっています。

    骨粗鬆症

    閉経後骨粗鬆症の患者さんにおいて、歯周病が進行しやすい原因として最も重要と考えられているのが、エストロゲンの欠乏です。
    エストロゲンの分泌が少なくなると、全身の骨がもろくなるとともに、歯を支える歯槽骨ももろくなります。また、歯周ポケット内では、炎症を引き起こす物質が作られ、歯周炎の進行が加速されると考えられています。
    多くの研究で、骨粗鬆症と歯の喪失とは関連性があると報告されています。
    閉経後の女性は、たとえ歯周炎がなくても、エストロゲンの減少により、歯周病にかかりやすく、広がりやすい状態にあると言えます。
    また、骨粗鬆症の薬としてよく用いられるビスフォスフォネート製剤(BP系薬剤)というのがあり、これを服用している方が抜歯などをした場合、周囲の骨が壊死するなどのトラブルが報告されています。歯周病でぐらぐらしているから自分で抜く、などということは絶対に行わないようにしてください。

    うつ病・認知症・癌・神経障害・フレイル・・・・など

    こんなにもたくさんの病気と関わりがある口腔内環境。

    ではなぜ歯周病が全身疾患に影響を及ぼすのか??
    歯周病菌は空気を苦手とするため、食べかす(歯垢)をある場所を好み、だんだんと増殖をするのです。
    そして歯周病菌が歯肉から血管や気道に侵入して全身に菌が入り込んでしまうからなのです。

    定期的に歯医者に行く予防歯科をおすすめします。
    歯肉の炎症が全身に多くの影響を及ぼすことは昨今の研究で明らかになってきています。歯周病も多くの病気も生活習慣病ですから互いに深い関係があって不思議ではありません。
    腫れた時だけ、痛い時だけ、歯医者へ行く方も少ないかもしれませんが、それは要注意!!!

    毎日の食生活を含めた生活習慣を見直し、歯周病を予防する事が全身の生活習慣病を予防することにつながります。
    歯医者は口腔内の変化をみる事のできるプロです。口腔ケアも自分一人できちんと行うのは難しいと言われています。半年に一度は歯科医を受診し、生活習慣も含め口腔内のケアを受けるようにしてください。
    ※日本臨床歯周病学会ホームページより引用あり

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