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- 2024年3月14日
- 「口腔機能低下症」とは?
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前回のブログでオーラルフレイルについてお話を致しましたが、オーラルフレイルが疑われる場合、口腔機能の検査を行うことができます。
その結果、お口の機能が低下していると診断されると口腔機能低下症と病名がつきます。
口腔機能低下症の検査項目は次の7項目になります。
- 口腔衛生状態不良(口腔不潔)
- 口腔乾燥
- 咬合力低下
- 舌口唇運動機能低下
- 低舌圧
- 咀嚼機能低下
- 嚥下機能低下
結果はいかがでしたか?
それぞれ当てはまった番号の項目をみていただき、実践してみましょう!
①口腔衛生状態不良 ②口腔乾燥 に該当された方
①口腔状態不良
■歯みがきは就寝前を含めて1日2回以上行いましょう
■歯間ブラシやフロスを1日1回以上は使用しましょう
■舌ブラシを使って舌の汚れを丁寧に落としましょう
■ぶくぶくうがいをしっかり行い、汚れを吐き出しましょう
■義歯を使用している場合は、義歯用ブラシと義歯洗浄剤で清潔に保ちましょう
②口腔乾燥
■お口をしっかり動かしましょう
■唾液腺ッサージを1日3回程度行いましょう
■ジェルなどのお口の保湿剤を使用しましょう
■お口の渇きを引き起こすお薬について確認しましょう
お口の中が乾いていると、歯やお口の中が汚れやすくなります。
汚れは歯だけでなく、お口全体に広がっています。
ですので、軟らかいハブラシやスポンジブラシを用いて舌や口蓋、頬粘膜などの口腔粘膜と呼ばれる場所に潜んでいる、目に見えない細菌や汚れを取り除くようにしましょう。
日常的に行っている歯磨きに加えて、口腔ケア用品を取り入れることをお勧めします。
中でも「口腔ケア用ジェル」を用いた粘膜清掃を継続的に行うことで、お口の状態が改善すると考えられます。
口腔ケア用ジェルは次のように医療部外品と化粧品の2種類あります。
- ・医療部外品・・・抗菌成分を配合するなど、効能・効果を有する
- ・口腔化粧品・・・保湿成分を配合し、口腔に潤いを与える
味やフレーバー、容量、硬さ、配合成分などが各社異なりますので、是非、自分に合った製品を探してみてください。
③咬合力低下 ⑥咀嚼機能低下 に該当した方へ
③咬合力低下
■義歯の不具合、むし歯、歯周病などがある方は歯科治療を受けましょう
■歯ごたえのあるものを食べましょう
歯がたくさん残っていてもしっかり噛めるとは限りません。
むし歯や歯周病などでグラグラしている歯は歯科治療が必要です。
噛むための環境を整えた後は、普段の食事に歯ごたえのある食材や調理を取り入れ、噛む機会を増やしましょう。歯や義歯の治療を終えても硬いものが食べられない場合は食べるときに使う筋肉が衰えているのかもしれません。栄養をしっかり摂り,お口のトレーニングで食べる力を取り戻しましょう。
【歯科医院で行うこと】
□歯の状態の確認
□歯の治療
□義歯の製作・調整
□定期検診
⑥咀嚼機能低下
■義歯の不具合、むし歯、歯周病などの歯科治療を受け、咀嚼機能を改善しましょう
■一口20~30回噛むことを意識するなど咀嚼する回数を増やしましょう
■咀嚼のトレーニングや食べ方の指導を受けましょう
■色々な種類の食品を摂るようにしましょう
以下の咀嚼のトレーニングの一部を紹介します。
【ガム噛みトレーニング】
片側20回を3回ずつ(計60回)噛みましょう。
できれば1日3セット(朝・昼・晩)行い、食事の前に行うのが良いでしょう。
④舌口唇運動機能低下 ⑤低舌圧 に該当された方へ
④舌口唇運動機能低下
■早口言葉や滑舌の練習、頬を膨らませるなど口をしっかり動かすようにしましょう
■話をする機会を増やしましょう
■唇や頬の力を鍛える器具や吹き戻しの笛などを活用しましょう
舌や口唇は筋肉を巧みに使い、お口全体と協調しながらお口の役割を果たしています。
舌や口唇のトレーニングとしては早口言葉や歌を歌うなどが取り入れられています。
また、呼吸筋や口唇の運動としては、吹き戻しの笛などを用いて唇をすぼめて空気を横から漏れないように息を吹き込むような動きが良いでしょう。
さらに、舌を前後・上下左右に大きく動かしたり、ゆっくり「あー、いー、うー」と口を動かして頬の可動域のトレーニングを行うことも効果的です。
- ・舌を前後や上下左右に動かす
- ・円を描くように回す
- ・「あー、いー、うー」と口を動かす
⑤ 低舌圧
■舌の筋力を鍛える運動をしましょう
舌の力は「舌圧」と呼ばれ、機器で測定が可能です。
加齢などで身体の筋肉が少なくなると舌圧も下がってしまうので、日ごろからしっかりと舌を動かし、舌圧を維持しましょう。
舌を口蓋に押し当てる動きは舌に負荷がかかり、トレーニングになるといわれているため、道具がなくても実施することができます。
舌のトレーニングを行うと、舌圧の値が上昇するだけでなく、誤嚥の減少や肺炎リスクが軽減したという報告もあります。
⑦嚥下機能低下 に該当された方へ
⑦ 嚥下機能低下
■飲込みの検査を受けましょう
■トレーニングを行い、飲込みや呼吸をする時に必要な力を鍛えましょう
飲込みの力を鍛えるトレーニングや体操の一部を紹介します。
これらの内容は食べる機能と関連が深いと考えられるため、日ごろの生活の中で取り入れてみて下さい。
・嚥下おでこ体操
額に手をあてて自身で水平方向に抵抗を加え、おへそを見るように頭頸部の屈曲を行います。
☆ポイントは、しっかりと抵抗を加えたまま顎を引く動作を意識し、息を止めないことです。
どちらも5秒ほどかけて1セット5~10回、1日3セット行います。
・開口によるトレーニング
嚥下時に舌骨上筋群は重要な働きをする開口筋としても作用するため、大きく開口する運動によって舌骨上筋群に負荷を加えることができます。
大きく口を開け、その状態で10秒間保持します。
10秒間の休息を入れながら5回を1セットとし、1日2セット行います。
☆ポイントは思い切り大きな口を開けて保持することですが、顎関節症や顎関節脱臼の既往がある場合は行わないでください。
・ボールを用いたトレーニング
小さめのボールを顎と胸の間ではさみ、顎でボールを強くつぶす運動を行います。
☆ポイントは、ボールがつぶれるように最大の力で行い、息を止めないことです。
どちらも5秒ほどかけて1セット5~10回、1日3セット行います。
食形態の調査や栄養の取り方に不安がある方へ
噛む機能や飲み込む機能が低下した場合、次のように普段の食事を食べやすく調整したり、食べやすい食材やメニューを選択することが考えましょう。
・調理・選択の工夫・・・茹でる、蒸す
同じ食材でも食べやすいメニュー(ステーキよりハンバーグなど)
・食べやすい食品の例・・・たまご、とうふ など
さらに、市販品を取り入れることで調理の負担軽減や選択肢の拡大につながると考えられています。中には、食材の見た目を変えずに軟らかく加工されている製品などもありますので、全てのメニューではなく、お肉やお魚をはじめとした食べづらいメニューだけでも市販品を取り入れるのはいかがでしょうか。
また、3食の食事だけに拘ると準備の負担も大きくなるので、ドリンクタイプやゼリータイプの製品を食事に追加したり、置き換えたり、間食として取り入れると手軽に栄養素を補えるようになります。ドリンクタイプの栄養剤には医師の処方が可能な経腸栄養剤もありますので、食事の不安がある場合は、歯科の先生だけでなく、かかりつけの主治医や栄養士さんに相談してみて下さい。
監修 東京歯科大学老年歯科補綴学講座 教授 上田貴之様
イーエヌ大塚製薬株式会社より引用